ちょうど浴衣についてのお話をしたところなので、妻の買い物に付き合いついでに僕も珍しく中古着物屋さん以外の売り場を見て来ました。
場所は近所の北千住マルイに入っているメンズフロアのテナントです。
やはりこの時期には最前面にずらっと並んでいますね!
しかも今時の若い人に合わせてか、かなり丈の長いものがあり、ちょっと壮観です。
素材は、ポリエステル・綿・麻および、その混合で仕立てられたもの。ポリエステルはパリっとしてて、ちょっと見、正絹の艶にも似てます。
価格帯は12000~36000円程度。結構開きがありますが、それは生地の差(ポリエステル<綿<麻)と、もう一点は縫製の差みたいです。
着物はそもそも全て手で縫う和裁で仕立てられているべきというのは以前説明しました。
江戸時代以前にはミシンなどなかったし、当然ですよね。
和裁は手作業で縫い目を限界まで目立たなくできる美しい縫製です。しかし当然手間がかかるため、現代では目立たないところにミシンを使うことで人件費を抑えてコストダウンを図ります。
よって、安いものほど縫い取りの部分にジーンズの裾上のような縫い目が見えてます。
逆に高いものは目につくところだけを手縫いにし、ミシン縫いの部分もできるだけ隠れるよう仕立てられています。前者も色によって(暗めのもの)はあまり目立ちませんけど、全て手縫いの品物は、目を凝らさないとどこを縫ってあるのかわからないくらいなのです。
次に帯。
こちらに並んでいるものはすべてポリエステル製です。ポリエステルは御存知の通り手軽に取り扱える便利な化学繊維。鮮やかかつ面白いデザインが豊富で、何より安価です。
帯生地としては滑りやすくて結びがほどけやすいという欠点がありますが、汚れてもすぐに洗えるので、花火大会で屋台の食べ物がこぼれたりしても比較的安心です。価格帯は5000円~くらい。
あとはそういう欠点を根本的に解決した作り帯も揃ってます。
これは結び目を最初から造形してあるので崩れるということがないし、何しろマジックテープ留めなので圧倒的に素早く着付けられるという点が魅力です。僕も数年前に花火大会に着るだけの浴衣着用の際は使っていました。
男着物の取り扱いの一番のハードルである帯結びを省いて最初はこれを使って手軽に楽しみ、ちょっと凝りたくなったらポリエステル帯で結びを楽しむという流れがいいですね。
さらに売り場には着付けや手入れが書いた無料冊子が置いてあり、これがすごくわかりやすくて「今夜お祭りに行くために欲しい!」って人も早速浴衣を楽しめるでしょう。量販店はこういうものを作れるのが強みですね。
今回、ポリエステル地が目立ちましたが、これは扱いやすさ重視のセレクトでしょう。
麻や綿もいいですが、ポリエステルのパリっとした風合いにモダンな柄が入っている方が若い人は喜ぶかもしれませんし、初心者として手軽かつクイックに浴衣を楽しむならばこういう所で買うのもアリ。
また、アパレルは広いお客さんに対してファッションの一つとしての浴衣を提案しているためか、浴衣選びを洋服と同じ感覚で店員さんに相談できるのが大きいです。
呉服屋さんははじめからお客にある程度の知識を要求するところもあるので、完全にド素人として手堅く着物の第一歩を踏むために、この季節の百貨店を選ぶのはお勧めです。
ちなみに僕の浴衣は地元裏通りの小さな呉服屋さんで買ったもの。
着物勉強に出入りしていて顔なじみになったところ、今回、倉庫にしまってあった売れ残りを2000円で売ってくれたのです。
白無地でやや地味であるものの、麻100%で全て手縫い。とても気に入ってます。
もちろん古着屋なら、なんと500円程度からあるので、いずれいいものを着るためにまずは練習着が欲しいというなら最適です。
手前味噌ながら僕の2000円の浴衣はマルイに並ぶものよりいいものだと自負しています。とてもいい買い物だったということです。
ただ、裏通りの呉服店に飛び込みで入っても、店主はそれを出してきてくれなかったでしょう。顔をつないでおいた馴染みの特権です。
また、古着屋のものはたしかに安いのですが、安いのには色々理由(ほつれやシミなど)があるので妥協点を探る"目"は要ります。
最初は百貨店でも、いずれは知識と足を使って、安く、いいものを手に入れたいですね。
(←このブログのコンセプトです)
ひとくちに浴衣と言っても、並ぶ品も市場も様々ですが、自分なりの方法で自分に適した一着を手に入れたら、お祭りや花火だけなんてもったいないこと言わず、散歩や買物にもガンガン着て楽しみましょう!
【北千住マルイ ゆかた売り場】
営業:10:30-20:30(夏季のみ)
電話:03-5244-0101
所在:東京都足立区千住3-92 5-8F
(北千住駅直結)
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