2013年9月28日土曜日

デニム着物

 涼しくなってきましたね!
そろそろ浴衣では肌寒い反面、着物を着るには快適な季節となりました。

かつて着物(特に女性もの)は「これは何月何日から何月何日までしか着られない」と季節や時期ごとに着ることのが細かく決まっていたようです。

が、今はもう時代も違い、着物もいろんな種類が出ています。
その中でもデニム製の着物は最近とても流行っていて、男着物でもいろいろな製品がリリースされ始めました。

というわけで、先日ゆめこもんさんに遊びに伺った際に見せていただいたデニムのご紹介。


デニムというと、もとが作業着でカジュアルの代表というイメージからどこか野暮ったい気がしたのですが、これは着物と現代カジュアルの中間をとてもバランスよく組み合わせています。

デニムなのにうっすらと艶さえあって正絹とはまた違う美しさがあり、また大胆にデニムパンツのようなミシンのステッチを主張させており、一見斬新な洋服のような錯覚さえします。
和裁で縫い目を隠すという着物の常識を逆手に取った発想。まさに現代の着物です!


ついでに、福服さんのイベントで試着したデニム着物(左)と、妻に縫ってもらった自慢の誂えデニム着物(右)の紹介もしておきます。


デニムにも生地にはいろんな種類があります。

福服さんの着物はデニムパンツの質感そのものですね。
あえて擦れた面を全面に出し、いわゆるGジャンを着ているようです。
写真がないのですが、背面にはなんと龍の刺繍が!

一方で妻に作ってもらった着物(いずれ詳しく紹介します)は、もっと薄手のデニム素材を使用しており、やや厚い浴衣のような単衣で、夏以外のスリーシーズン楽しめます。
妻の作品のブランドシンボルとして、胸元に赤いラインを入れてあるのが特徴。

このように、デニムの着物は洋服のようなアレンジや、デニムパンツのような手軽さが魅力。
洗濯機でザブザブ洗えますし、何より非常に頑丈なので、まだ所作などに慣れていない着物初心者には適していると思います。

ちなみにゆめこもんさんの商品の価格は35000円、福服さんの商品は10500円、妻の着物はプライスレス(笑)

リサイクルほど安くはありませんが、長く気軽に着ていけるという点では、デニム着物はコストパフォーマンスはすごく高いと思います!


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2013年9月23日月曜日

着物で歩きたい町

最近運動不足だったので、荒川沿いに自転車でふらっと川越の町に行ってきました。
実際は片道40kmあったので、ふらっとではなくふらふらでしたが。


川越の街は「小江戸」と呼ばれるだけあって、古い建物が多く着物や和小物の店も多く、和装で歩いてみたいと自然に感じる雰囲気です。
それもそのはず。町をあげて毎月18日を「きものの日」と定め、織物市を開いたり優待を行っているそう。


実際、着物の店は町の規模や範囲に対してかなり多く、古い呉服屋とモダンカジュアルで着こなす新しい着物屋が同居しているうえに和小物や雑貨の店もそこら中にあり、和装好きにとってはちょっとしたお祭りに参加したようでした。




着物を着て、ゆっくり買い食いしながら見物しつつ、地生ビールのCOEDOで締めるような楽しみ方ができる、着物好きの原宿とでも言いましょうか。
自転車で来てしまったことが大変悔やまれます。


せっかくなのでここでちょっと珍しい根付を購入。昔の鎧に使われていた小札をストラップにしたものです。
材質は薄い牛皮ですが、矢も通さなかったほど頑丈だったそうです。男として小脇に下げるお守りとしては最適ですね。

ちなみに今後「きものの日」の18日が週末に重なるのは、近々だと2014年1月と5月。
池袋から急行で30分程度なので、次回は必ず和装で行ってみたいと思います!


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2013年9月15日日曜日

日本橋帯座


人形町に開店したオリジナル帯の日本橋帯座におじゃましてきました。
ポップな柄の綿布地やお気に入りの持ち込み生地からオーダーメイドで和帯を制作してくれる月一度の限定ショップです。


僕の注目はオレンジと黄色で鮮やかなコントラストのきいた波模様の帯。
これは女性物の細帯ですが、同じように角帯を作ってもらったら腰元にバシッと主張してかっこよさそう!


今回の展示には男の角帯はありませんでしたが、柄としては男着物にピッタリなものも多く、相談すれば角帯制作も受け付けてくれるということなので、質素な色柄の男の着物にちょっと物足りなさを感じている諸氏には期待すべきお店ですよ。

この会場でお会いしたみなさんは、着物を楽しく自由に着ていくことを旨としている人々で、呉服店でははばかられるような(笑)話題も楽しくさせてもらいました。
やはり着物を現代に合わせて柔軟に着ていこうと考えている人はいるんですね。
「着物は伝統的であるべき」という敷居の高さは思い込みも大いにあることを知り、心強さをおぼえます。

会場には着物姿の方々が多かったですが、僕と妻はひょいっと洋服で伺いました。
そんな素人でも散歩がてら入っていける場ですので、もう一歩おしゃれな帯をお望みならば、一度足を運ぶことをオススメします!


【日本橋帯座】
営業:10:30-19:30(火曜定休)
電話:03-3661-1919
所在:東京都中央区日本橋富沢町5-3「一文(株)東京店」1階
(人形町駅4番出口から徒歩5分)

・今後の開催日程
9/14-15(土日)
10/26-27(土日)
11/16-17(土日)
12/14-15(土日)


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2013年9月13日金曜日

【実践3】 着物を買ってみよう! (予算重視編)

 ようやく朝夕が涼しくなり、そろそろ浴衣の季節も終わりを告げようとしています。
そんなわけで、今から着物を始めるには単衣着物(裏地のない涼しい着物)を選ぶことになりますが、浴衣に対して「着物」はちょっとお値段が張るもの。
そこに腰が引けぬよう、前回の購入手引の続きとして、今回は予算を優先した着物購入のコツをご紹介したいと思います。

注目するのはリサイクルの着物を扱っているお店。
中古衣類というとどこか安っぽいイメージがありますが、新品と比べると文字通り桁外れの安さとなることがあり、また、着物はもともと古い時代のものなので、リサイクルでしか手に入らないものもたくさんあるので玄人も注目している市場なのです。

おすすめのお店は、たんす屋さんか福服さんです。

たんすやさんは全国にチェーン展開しているので、お住まいの地域から近いお店を見つけやすいのが利点。たまに百貨店で大々的にリーズナブルなリサイクル着物のセールを行ったりもしています。
男物は「あまり売れない」という理由で店頭に男物を出していない場合があり、予め電話で男物があるかどうかを訊いてしまうのが確実でしょう。

福服さんは首都圏のみのチェーン展開で店舗こそ少なめですがリサイクル中心の品揃えと安さはダントツ。「日本一敷居の低い着物屋」を自らうたう通り、ド素人も気兼ねなしに入れる店構えです。男物は赤坂店に集まっていてサイズも在庫も豊富。
さらになんと、福服さんは学割を採用しており、学生さんは一律二割引という若者にやさしい価格設定なのです!

そのほかの普通のお店でもたんす屋さん同様に、売れ行きの事情やディスプレイ節約のために男物は倉庫に入れっぱなしという場合が割と多く、問い合わせることで奥から出してきてくれることも。
率直に「この店で一番安いやつ」と所望してしまうのも手です。



それではそれぞれの品物選びに入りましょう。

長着 素人重視度:★★★★☆
まず、着物五点セットの中で最も高い長着を妥協することで、総予算は大きく下がります。よく見かけるのは3000円~8000円の価格帯。
リサイクルや在庫品の場合は体に合うかどうかが一番のネックだと思うので、値段とサイズの2つの要素の合致点を探ることになるでしょう。
たまに1050円くらいのとんでもなく安い品もあります。これらには色あせや大きめのダメージがあったりしますが、練習や体験用として、あるいは「汚れてもいいや」と普段着使いするなどに利用できるので見逃せません。
もう一つの注意点として、冬にしか着れないウール製がこの手の激安長着によく混じっているため、暖かいシーズンに使いたい場合は素材の確認も必須です。

襦袢 素人重視度:★☆☆☆☆
実は、襦袢はなくてもかまいまないと個人的には思います。
僕自身、義父から譲ってはもらいましたが、胸元が深く切れ込んでいるVネックとか場合によっては丸首のシャツを下に着ることが多いくらいです。
襦袢の主な目的は防寒と汗とりなので、これを果たせるものなら何かで代用してもいいでしょう。
とはいっても、衿の内側に襦袢のラインが一本入るとピシっとキマって見栄えが違うので、昔の着方そのものを味わいたいのならばいずれは入手したいところ。予算重視の場合のみ、優先度は一番後ということです。
なお、裏地に風雅な絵が描かれているような"粋"な襦袢は長着よりも高価なこともありますよ。

  素人重視度:★★★☆☆
これも「どーしても新品が欲しい!」という前提であった際、ポリエステル製の品の最安値が6000円弱ということで、リサイクルまで範囲を広げると1000円とか、まれに数百円で手に入ることもあるんです。
多いのは3000円台。"献上"という、最もベーシックな模様が施されているものは弾数が多く、安価で使い勝手がいいため一本持っておくといいでしょう。
反面、リサイクルだとどこかにシミがついていたりほつれがあったりもしますのでダメージチェックも忘れずに。
帯はその面積のほとんどを重ねて巻いてしまうため、シミがあっても見えなくなることもあります。つまり注目するのは結びに使う両端。ここの汚れは隠しきれません。僕の持ってるものの中には前の持ち主の名前がマジックペンで書かれているものがあります(笑)
とはいえ、帯については断裂などのよほど大きな破損がない限りは大した目利きがいらないので、骨董市で安くて面白い柄を見つけたらサクッと買っちゃってもいいですね。
なお、今回は着付けを覚えることも目的としているので、作り帯(結びが縫製されているもの)は除外します。

足袋 素人重視度:★★☆☆☆
足袋は消耗品なので、綿であれば1000円以下で手に入ります。白黒一足ずつ持っていると着物に合わせることに悩みません。
結構使えるのが500円以下で手に入る文化足袋(二股指の靴下)。文化足袋は模様があしらわれているので、色々面白く着こなせます。

履物 素人重視度:★★★★★
そして最後に雪駄あるいはゲタといった履物です。
これが少し難しい。履物の解説でお話したとおり、その人の足に合うかどうかで高くも安くもなり、靴同様、特殊なケースを除いては中古市場にもあまり流れないので、五点セットの中では最も値段が削りにくいのです。
ただ、どんな着こなしであっても歩くのが辛いと楽しくないので、履き心地については妥協は絶対禁物。「痛い」と感じるようなものは避けましょう。
1万円あれば「すげ」のできるものを買ってもお釣りがくるとは思いますが、安さ最重視ならば履物屋の店先の吊しから自分の足に合うものを探せば3000円以内で収めることができると思います。
履物の相場は普段洋服に合わせている靴と価格も性質もあまり違わないので、同じ価値観で考えてもらって差し支えありません。

以上です。
これらを最低価格でまとめてみました。

長着 5000円~
襦袢 3000円~
帯  3000円~
足袋 1000円~
雪駄 3000円~

合計1万5000円!

洋服でいうところの上着(シャツ・ズボン)・下着・ベルト・靴下・靴までひっくるめてなら納得行く金額ではないでしょうか。
襦袢を省略したり、長着をもっと妥協できれば「一度自分の着物姿を味わいたい」という希望は1万円以下でかなってしまいます。

大切なのは、まず「着物」を体験することから。
そのための出費はできるだけ抑え、着物の楽しみを感じて更にいいものにステップアップするときまで貯めておきましょう。
ボロは着てても心は錦(ちょっと違うかもしれませんが)です!


【たんす屋】
http://tansuya.jp/

【福服】
http://www.rakuten.ne.jp/gold/fukukimono/



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2013年9月4日水曜日

生協に着物?

 着物の販売というのは着物に興味が無いと全く視界に入らいないもので、お店にしろショーケースにしろ、着物を着始めた途端に突然目に見えるようになるものです。
これは今日見つけたそのひとつ。

週一度、妻と生協に食材のカタログ注文をするのですが、そのカタログの中にも着物関係のものって取り扱われているんですよね。

ここには女性物しかありませんが、きものハンガーや収納ケースは男性も共用できますし、妻によると、男着物でも襦袢の着崩れを防ぐために着付け用ベルトが使えるようです。
生協は家まで配達してくれるので、大きなものを買うには便利です。

いつか男物も載せてもらえるくらいに普及して欲しいものです。

そんなちょっとした小ネタでした。

2013年9月2日月曜日

【実践2】 着物を買ってみよう!

 前々回のエントリの続き。今回はいよいよ着物を購入するという段階に入りましょう!

例によって部屋のドアを開けてスタートしますが、まず、メモとペン程度の筆記用具をご持参ください。
そこに予め下記のような記述をしておきます。

================

長着 (  円)
襦袢 (  円)
帯  (  円)
足袋 (  円)
履物 (  円)

================

この五点は、いわゆる「着物」スタイルに必要なひとそろいです。
このメモを持って、前回お店巡りをしたなかから、直感的に好印象だったお店を適当に選んで入ってください。
現段階では予算は特に決めなくていいです。

お店についたら必ずメモを取り出し「ここに書いてある一揃いを、初心者向けに安く揃えたらどのくらいになりますか?」と訊きます。

店頭でのやりとりにおいて、その内容が記録されているかそうでないかというのはものすごく重要です。
お店は、記録が残るという点からいい加減なことは言えないし、お客は、その情報を持ち帰り改めて客観的に評価できるからです。
また、メモがあると、価格調査の意志をスムーズに伝えることができるのが大きな利点。「お客さんが着るんですか?」と訊かれても「そうなんですけど、詳しい人間から"値段聞いて来い"って言われてて」と切り返せば、いきなり売り込まれたりする心配はないでしょう。

で、それぞれの値段や現物を見ての感想などをメモします。購入について疑問もこの段階で訊いておくといいです。



ここから先はお店次第ですが、通常の着物屋で上記のやりとりを行った場合、僕の予測では

長着 2万円~
襦袢 5000円~
帯  6000円~
足袋 3000円~
履物 8000円~

くらいになるのではないかと思います。合計5万円弱というところでしょうか。
初めて買う嗜好衣料としては、やっぱ高いかなーって思うでしょう。

しかしここでそれは顔に出さず、一旦店を出ます。

前回同様、他のお店でも同じように訊いてメモして、いろんな組み合わせを手に入れて検討してください。
値段だけでなく、長く付き合えそうなお店かどうか、相談のために足を運ぶのに便利かどうかなど、手に入れた情報は、初心者として着物を長く楽しむことを想定した上で購入材料にしてください。

もしも納得ができるのであればこの段階で購入してしまってもいいと思います。
この値段で買える着物一式であれば、おそらく長着は正絹の新品で、柄などもある程度は選べるはずです。"とりあえず"の間に合わせではなく当分使いつづけられる組み合わせでしょう。
何より、一揃い全部購入したお店なら、着方や手入れの方法などの着物オーナーとしての質問が遠慮無くできるというメリットも大きいですしね。
安くない買い物かもしれませんが、着物は値段と品質がきちんと比例する品であり趣味です。

ただ、やっぱり1万円札5枚は気軽には出しにくい価格というのが正直なところではないでしょうか?

着物という品物が作られるまでの手間を考えると妥当ではあるのですが、懐具合と本質の理解が相容れるには長い時間が必要です。

まずはそれを理解するためにも、第一歩をやや肌寒い懐でもって体験したいという諸氏に向けて、次回、もう一歩進んだ「安く手に入れる」方法をご紹介したいと思います。


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